金とプラチナの市場価格の違いと変動|ゴールドウィンコラム

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金とプラチナの市場価格の違いと変動

2018年12月20日

金相場

プラチナの価格が、2015年あたりから金の価格を下回り、その開きが長期に渡って大きくなったままの状態です。
この大きな要因のひとつは、世界大手の各自動車会社によるディーゼル車撤退が加速したことです。プラチナはディーゼル車用触媒に使用されており、その影響が需要減につながったと考えられます。あるいは、銀(Ag)による触媒開発がされており、プラチナに取って代わったという説も立てられます。
これらの動きを含め、そもそも金と白金(プラチナ)の共通点や違い、その関連性を知るところから説明していきます。

目次

  • 金と白金(プラチナ)の違いとそれぞれの種類と配合
  • 日本の都市鉱山は世界有数
  • 世界の有名金鉱企業 金とプラチナの場合
  • 長期で投資する「有事の金」と投機用のプラチナ

金と白金(プラチナ)の違いとそれぞれの種類と配合

「金」は、原子番号79 元素記号Auの金属元素です。またはAuを主成分とした貴金属です。金は、純度の高い順に主にインゴット K24 K22 K18 等に分類されます。
インゴットは純度99.99%以上 K24は99.9%の金を指します。
金の延べ棒には、99.99% K24なら99.9%と刻印されていることもあります。
K22は、純度91.7%で他金属と混合しジュエリーに加工されていることが多いですが、金の色調が美しい分、傷が付きやすいという難点があります。
K18は、金の硬度と加工のしやすさのバランスが扱いやすく、ジュエリー、時計、携帯、カメラ等に使われています。デザインやカラーもバリエーション豊かに加工されています。
そのほかに、金は、電子製品、金、プラチナともに医療、産業用にも利用されています。

白金(プラチナ)は、原子記号78、元素記号Ptの金属元素、およびPtを主成分とした貴金属です。
純度の高い順に、インゴット、950pt 900pt 850pt等に分類されます。
純度が高いほど傷がつきやすいけれど金属アレルギーをおこしにくいです。
インゴットは純度99.95%以上 950ptは、純度95%のプラチナです。
高級ブランドのジュエリーによく使用されています。柔らかいプラチナは、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、銅等を含有させたプラチナ合金が多いです。
特に、パラジウムはプラチナと溶け合いやすい性質があります。パラジウムを配合したプラチナ合金のことは、パラジウム割りと呼ばれています。
銅を混ぜると硬度が増します。900ptは純度90%以上のプラチナを指し、これら他の鉱物を混合し硬度を高くする等、色、形共に加工しやすくなります。
850ptは、パラジウム等を15%配合したプラチナ合金は、硬度がさらに増し、硬度が要求されるチェーンネックレス、リングによく使われています。
その他、プラチナの60%が産業用、特に自動車触媒用が占めています。自動車触媒とは空気を浄化させる装置です。

金が、資産価値としての金が市場に多く出回っていることに比べ、プラチナは、産出量が少なく、市場規模が小さいため投機対象にされることが多いです。
用途別に割合を見ると、
金 工業用10% 宝飾用53% 投資用37%
プラチナ 工業用65% 宝飾用28% 投資用7% (2016年データ)となっています。
プラチナの工業用に使われる割合の大きさが際立ちます。

また、ホワイトゴールドについてですが、俗にプラチナと呼ばれることもありますが、本質は全く別の鉱物で金を主体とした合金のことをいいます。

日本の都市鉱山は世界有数

金の産出国、最も多いのは、一番は中国450トン、2番はオーストラリア274トン、3番はロシア247トンです。かつては南アフリカが、その採掘量の規模を誇っていましたが、堀りつくしたこともあり、今後の採掘投資も先が読めません。
プラチナの産出国は、南アフリカ120トン(シェアは70%)、ロシア23トン、ジンバブエ13トンを含めた3ヶ国がおもな生産国となっています。

日本の金産出量は、どうなのでしょうか。
かつて黄金の国ジパングと呼ばれた日本ですが、産出量は約41位。現在の金のほとんどが、鹿児島県菱刈鉱山で採掘され、推定埋蔵量は250トンだそうです。
しかしながら、日本は、携帯、パソコン、カメラ等からのリサイクル産出による都市鉱山としての技術と産出量は世界一と言われています。

では、プラチナの国内産出量はどうでしょうか?
まず、世界的に見て、プラチナの歴史は、金の歴史に比べるととても浅いです。世界で採掘された総量は約17万トンといわれるのに対し、プラチナは、約5千トンです。
日本でも僅かに埋蔵されていることが確認されていますが、ほぼ輸入に頼っており需要量は、2017年時点で、30.8トンでした。

世界の有名金鉱企業 金とプラチナの場合

世界で金を生産している企業

Barrick Gold バリックゴールド社 カナダ トロント所在

世界最大の金鉱山会社です。生産の8割が金を占めています。社歴は長くありませんが買収の繰り返しにより成長してきました。
日本経済新聞によりますと2012年にその傘下のアフリカン・バリック社の発行済み株式の74%を、中国の最大の国営金鉱山会社チャイナ・ナショナル・ゴールドが購入すべく、交渉に入った記事があります。
リンクBarrick Gold Corporation

Newmont Mining ニューモント・マイニング コロラド州 デンバー所在

アメリカ最大の産金企業
1916年アメリカの投資家の原油や天然ガス、鉱業などの資産を扱う持株会社として設立された企業が前身です。主に金と銅が売り上げを占めます。
リンクNewmont Mining Corporation

AngloGold Ashanti アングロゴールド・アシャンティ 南アフリカ ヨハネスブルグ

金の生産はアフリカを中心としてオーストラリア、アメリカ州で行われています。
リンクAngloGold Ashanti

Gold Fields ゴールド・フィールズ 南アフリカ パークタウン

ドリフォンティン、クルーフなどの伝説的な金山を所有しています。
リンクGold Fields

紫金砂業集団 ズージン・マイニング 福建省上杭県所在

中国で最大規模の資源・金鉱山会社です。金・銅生産で中国を代表する企業です。
リンク紫金矿业集团股份有限公司

中国黄金集团公司 チャイナ・ナショナル・ゴールド 北京東城区

中国の国営企業の鉱山会社。内モンゴルでの金採掘プロジェクトおよびチベット自治区での銅採掘プロジェクトに注力しています。
リンク中国黄金集团公

住友金属鉱山

大規模な鉱山、鹿児島県菱刈金山を所有しています。
リンク住友金属鉱山

世界で白金(プラチナ)を生産している企業

白金の生産企業は、金に比べるとうんと少なくなります。産地が南アフリカに偏っていることにあります。

生産量上位3社

Anglo Platinum アングロ・プラチナ 南アフリカ ヨハネスブルグ

世界最大の白金生産企業。南アフリカの50%の供給量を占めています。
リンクAnglo Platinum

Impala Platinum Holdings Limited インパラ ハウテン州 ヨハネスブルグ

主にアフリカ内が事業活動の中心ですが、それ以外ではカナダで探鉱をしています。
リンクIMPLATS

Lonmin ロンミン イギリス

英国のPGM(白金族金属)生産大手で南アフリカ共和国のJSE(ヨハネスブルグ証券取引所)に上場しています。
リンクLonmin

金や白金を生産するために必要なコストは?

鉱山会社が金や白金を生産するのにどのような費用が生まれるのでしょうか。
産出される金は、1トンから約3~5gしかありませんが、日本の菱刈鉱山は、特別で50gから300gまでの含有量があります。
人件費等の操業コストだけではなく、採掘費、管理費、精錬費、鉱区使用料、減価償却費などが必要です。浅い採掘から開始しますが、より深く採掘するためには、より多くのコストが掛かってきます。
費用がかさみ金価格が下がり生産コストを割り込んだら採掘を止めることもありますが、その場合、採掘再開時に、よりコストが掛かってしまうため継続するかあるいは閉山するかの選択になります。また生産量が減ると長期的に金の価値が上がるというバランス関係にもあります。

長期で投資する「有事の金」と投機用のプラチナ

金に比べ、プラチナは投機用にふさわしいと言われます。
そもそも投資と投機の違いは何でしょうか?
例えば、投資は、長期的予測がしやすいものであること。長期的に保有しながらじっくり様子を見るスタイルです。
それに対し、価格変動が大きく、長期的予測が難しいことから大きく当てにいくハイリスクハイリターン向きといえます。

各国の中央銀行で保有されている金

世界の銀行では、外貨の他に金を保有しています。国の中心となる銀行、それは、日本では日本銀行、アメリカはFRB(連邦準備銀行)イギリスは、イングランド銀行、ドイツは、ドイツ中央銀行、ユーロは、ECB(欧州中央銀行)です。

中央銀行の役割は、

  • 発券銀行である。紙幣を独占的に発行します。
  • 銀行の銀行である。
  • 政府の銀行である。税金等政府の資金を管理します。

これらの役割を総合し金融政策を通して物価の安定を図ること。金融システムの安定化を図ることです。
このことからも金は、長期的視点から非常に信頼でき安定した価値を持っているといえます。世界の中央銀行が保持する金の割合は、地上在庫の17.6%です。
なかでも最も多く金を保有しているのは、アメリカのFRBです。2位はドイツ、3位はイタリア、4位フランス、5位中国、6位ロシア、7位スイス、日本は、8位です。
アメリカFRBの金保有率は、世界の各中央銀行が保有する金の25%以上も占めています。
この保有率の高さは、米ドルが国際決済通貨や基軸通貨としての役割を担っており、他国通貨を沢山保有する必要がないことから無国籍通過の金を保有することで信頼性を高めると考えられます。
金は、長期的にも資産として安定した価値を持つこと、今後の産出量が限られていると想定すると今後も希少性は高まっていくことでしょう。