宝石の内包物は少ないほど高い?価値を下げる内包物・価値を生む内包物を鑑定士が解説【2026年最新版】

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宝石の内包物は少ないほど高い?価値を下げる内包物・価値を生む内包物を鑑定士が解説【2026年最新版】

2026年9月9日

この記事の監修者

貴金属・宝石 査定責任者

鑑定士歴20年 中村 達也
ゴールドウィン 梅田店・難波店

古物営業許可証番号大阪府公安委員会許可証 第621010160159号

「これ売っていいの?」「いくらになるの?」
そんな不安を解消するために、貴金属、宝石の査定のプロがわかりやすく解説します。

監修者プロフィール

2003年に質屋へ入社後、宝飾業界の現場で査定・接客経験を重ね、金・貴金属・宝石の価値判断に携わってきました。
現在は梅田・なんばエリアでゴールドウィンの店舗運営と査定統括を担当。 2023年には、箕面市へ寄贈された金29kg・プラチナ1kgの延べ板について、一般競争入札で最高価格を提示し、約3億円で落札・買取した実績があります。
日々の査定では、価格の根拠を分かりやすく伝える明朗な説明を大切にしています。

メディア出演

・読売テレビ 「ウェークアップ」
・関西テレビ 「news ランナー」
・関西テレビ 「ジャルやるっ!」

 

 
 
宝石をルーペで覗くと、内部に小さな結晶や針のようなもの、液体を含んだような空間、細かな亀裂などが見えることがあります。
 
これらは一般に「内包物(インクルージョン)」と呼ばれます。
 
内包物が多いほど価値が低いと思われることもありますが、色石の評価はそれほど単純ではありません。
 
結論からいうと、透明度や輝きを大きく損なう内包物は買取り価値を下げることがあります。
 
しかし、内包物は少なければ少ないほど良いとは限りません。
 
例えばエメラルドは、天然石であれば内包物が見られること自体は珍しくありません。
 
一方、ルビーやサファイアでは、一定方向に並んだ微細な針状内包物が光を反射することで「スター効果」が生まれることがあります。
 
クリソベリルでは、内部の特徴によって一本の光の帯が現れる「キャッツアイ効果」が価値につながる場合があります。
 
さらに内包物は、天然・合成、処理、場合によっては産地などを鑑別機関が検討する際の手掛かりになることもあります。
 
つまり鑑定士が見るのは、「内包物があるか、ないか」ではなく、「何が、どこに、どのように存在し、それが宝石の美しさ・耐久性・希少性にどう関係しているのか」です。
 
今回は、宝石の買取り査定で内包物をどのように考えるのか、専門的な部分まで掘り下げて解説します。

そもそも宝石の「内包物」とは何?

宝石の内部に存在するさまざまな特徴

内包物というと「宝石の中に入ったゴミや傷」のようなものを想像されることがありますが、正確にはそうではありません。
 
天然宝石は、地下で結晶が成長する長い過程の中で周囲に存在していた鉱物や流体などを取り込むことがあります。
 
その結果、宝石内部には、鉱物結晶、針状・繊維状の特徴、液体や気体を含む流体包有物成長に伴う構造、内部亀裂、など、さまざまな内部特徴が見られます。
宝石学では、それらを顕微鏡などで観察し、石の性質を調べていきます。
 
そのため内包物は単なる「傷」ではなく、宝石がどのように形成されたのかを考えるための情報でもあります。

「内包物」と「傷」は同じではない

査定の際に、「中に傷がありますね」と表現されることがありますが、厳密には表面傷と内部特徴は分けて考えます。
 
研磨された宝石の表面についている擦り傷や欠けと、結晶内部に存在する内包物では、発生した理由も評価への影響も異なります。
 
さらに、内部から表面まで達している亀裂もあります。
こうした亀裂は透明度だけでなく、石の耐久性にも関係する可能性があるため、査定では位置や大きさまで確認します。

内包物の種類は宝石によって違う

天然宝石には、それぞれ特徴的な内包物が見られることがあります。
 
例えばルビーやサファイアではルチルなどの針状内包物、エメラルドでは結晶や流体を含むさまざまな内包物が観察されます。
 
ただし、この内包物があるから〇〇産、天然である、などの判断ができるとは限りません。
高度な鑑別では、内包物だけでなく、分光特性、微量元素、成長構造など複数の情報を組み合わせて判断します。

内包物があると宝石の買取り価値は下がる?

透明度を大きく損なう内包物は評価に影響する

一般的に、内包物によって宝石の透明度や美しさが大きく損なわれている場合は、宝石の買取り評価にも影響します。
 
例えば同程度の色・大きさを持つサファイアが2石あり、一方は透明感が高く、もう一方は内包物によって全体が黒っぽく濁っているとします。
その他の条件が近ければ、透明感の高い石の方が評価されやすくなります。
 
しかし重要なのは、内包物の「数」だけで判断しないことです。
 
小さな内包物が複数あっても肉眼ではほとんど美しさを損なわない石もあれば、一つの大きな内包物が中央にあることで非常に目立つ石もあります。

同じ内包物でも「位置」で評価が変わる

宝石の正面中央に目立つ内包物がある場合と、ガードル付近の目立ちにくい場所に同程度の内包物がある場合では、見た目への影響が違います。
 
つまり、大きさ、位置、色、反射の強さ、透明度への影響、などを合わせて判断する必要があります。
 
例えると「内包物が3個あるから、この石より安い」というような単純な数え方ではありません。

耐久性に関係する内包物は慎重に見る

もう一つ重要なのが、内包物と宝石の耐久性です。
 
例えば大きな亀裂が表面まで達している場合、衝撃によって欠けや割れにつながる可能性を考える必要があります。
特にリングは日常生活で衝撃を受けやすいため、石の端やガードル付近まで大きな亀裂が達している場合などは注意します。
 
これは単に「透明度が悪い」という問題ではありません。
 
ジュエリーとして再利用できる状態なのかという点も、買取り価値に関係することがあります。

宝石ごとに内包物への許容度は違う

ここが宝石評価で非常に重要です。
すべての宝石を同じクラリティ基準で比較することはできません。
 
例えば天然エメラルドは内包物が比較的多く見られる宝石です。
 
一方で、種類によっては肉眼で目立つ内包物が少ないことが一般的な宝石もあります。
 
そのため、エメラルドに内包物がある=品質が悪い、と判断するのは早計です。
 
同じ宝石種の中で、その色や大きさ、透明度などを比較して評価する必要があります。
 
これは前回紹介した記事の、宝石は大きいだけで買取り価格が高いわけじゃない、というところと考え方は似ています。

内包物が逆に「宝石の価値」を生み出すこともある

ルビー・サファイア|針状内包物がスターを作る

代表的なのが、スタールビーとスターサファイアです。
 
コランダム内部に一定方向へ配列した微細な針状内包物などが存在すると、カボションカットされた表面に複数の光条が現れることがあります。
これが「アステリズム」、いわゆるスター効果です。
 
一般的な透明石では、針状内包物が透明度や輝きを低下させる原因になることがあります。
 
ところがスターコランダムでは、その内部特徴が存在するからこそスターという価値が生まれます。
ここが宝石の面白いところです。
 
ただし、スターが出ればすべて高額になるわけではありません。
 
光条の鮮明さ、スターの位置、動き、地色、透明感、大きさなどを総合して評価します。
 
サファイアの詳しい価値はそのすべてを評価し、最終判断されます。

クリソベリル|内包物が「猫の目」を作る

クリソベリルキャッツアイも同じ考え方です。
内部に平行に配列した微細な特徴が存在し、それに光が反射すると、カボション表面に一本の光の帯が現れます。
 
これが「シャトヤンシー」、キャッツアイ効果です。
 
上質なクリソベリルキャッツアイでは、光の線が細く鮮明で、石を動かすと光の帯も滑らかに移動します。
 
つまり通常なら透明度へ影響する可能性がある内部特徴が、適切なカットと組み合わさることで宝石の希少な個性へ変わるわけです。

内包物が天然石を調べる手掛かりになる

内包物にはもう一つ重要な役割があります。
 
それが宝石鑑別です。
 
天然宝石の内部には、結晶が成長した環境を反映した特徴が残ることがあります。
 
一方、合成宝石にも製造方法に由来する特徴が見られる場合があります。
 
鑑別機関では、顕微鏡による内包物や成長構造の観察を重要な情報の一つとして利用します。
 
ただし、ここでも注意が必要です。
 
内包物だけを見て天然・合成を100%判断できるとは限りません。
高度な鑑別では複数の検査結果を組み合わせます。
 
以前解説した宝石の鑑別書をどこまで信用できるのかという話ともつながりますが、外観だけでは判断できない石ほど専門機関による分析が重要になります。

産地や処理を考える情報になる場合もある

ルビー、サファイア、エメラルドなどでは、内包物や成長特徴が産地や処理の有無を検討する際の情報になることがあります。
 
例えば加熱処理によって、内部の特徴に変化が生じる場合があります。
 
また、エメラルドでは表面に達した亀裂へオイルや樹脂などが含浸されていることがあります。
 
鑑別機関では、こうした内部特徴だけでなく各種分析結果を組み合わせて、処理や産地について検討します。
 
特に高品質なルビー・サファイア・エメラルドでは、加熱・非加熱、産地、処理の程度などが市場価値に大きく関係する場合があるため、内包物の観察は単なるクラリティ評価以上の意味を持つことがあります。

エメラルドの内包物はなぜ特別に考える必要がある?

エメラルドは内包物が珍しくない宝石

エメラルドを査定していると、ルーペで内部特徴が確認できることが多いです。
 
エメラルドでは、内包物や成長特徴を含んだ内部の様子を「ジャルダン」と表現することがあります。
フランス語で「庭」を意味する言葉です。
 
ただし、ジャルダンがあること自体に価値が付くわけではありません。
 
あくまでその宝石エメラルドの情報を見ることができるという認識です。

「ジャルダンがあるほど天然らしくて高い」わけではない

エメラルドで誤解されやすい部分の一つで、天然エメラルドに内包物が多く見られるからといって、内包物が多ければ多いほど価値が高くなるわけではありません。
 
透明度を大きく損なうほど内包物が多かったり、大きな亀裂があったりすれば、当然ながら買取り評価へ影響する可能性があります。
 
エメラルドでも、色が美しく、透明感があり、内包物が美しさを大きく損なっていない石は高く評価されます。

亀裂と含浸処理も確認する

エメラルドでは、表面に達した亀裂を目立ちにくくするため、オイルなどによる含浸処理が行われることがあります。
これはエメラルドでは広く知られた処理ですが、処理の程度や使用されている物質によって市場での評価が変わる場合があります。
 
そのため高額なエメラルドでは、「内包物が多いか少ないか」だけではなく、亀裂がどの程度あるのか、処理がどの程度行われているのか、というところまで見ることが重要になります。
 

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宝石の内包物を買取り査定ではどう見る?

最初からルーペだけで判断しない

宝石を見るとき、私はまず肉眼で石全体を確認します。
 
色、透明感、輝き、カット、正面から見た印象などを見たあと、ルーペなどを使って内部を確認します。
 
これは意外に重要です。
 
ルーペで内包物ばかり探していると、宝石全体の美しさを見失うことがあるからです。
買取り価格を決めるのは「欠点探し」ではありません。
 
その宝石が市場でどの程度評価される品質なのかを見ることが査定の目的です。

内包物の「量」より美しさへの影響を見る

宝石の買取り査定で、内容物量の良し悪しの基準などはなく、基本的には十石十色です。
 
例えば小さな内包物が複数あっても、肉眼では透明感が高く見える石があります。
 
反対に一つだけでも、中央に大きく黒く目立つ内包物があれば印象は大きく変わります。
 
そのため重要なのは、種類・大きさ・位置・目立ち方・透明度への影響・耐久性への影響です。

高品質石ほど鑑別書の情報も重要になる

高品質なルビー、サファイア、エメラルドなどでは、見た目だけでは評価を確定できない場合があります。
天然・合成、処理、産地などによって市場価値が大きく変わる可能性があるためです。
 
鑑別書や分析報告書が付属している場合は、宝石と一緒に査定へ持参することをおすすめします。
 
ただし、鑑別書がないから買取りできないという意味ではありません。
 
まず現在の状態を確認し、必要性を判断すれば十分です。

宝石の内包物に関するよくある質問

Q1.宝石の内包物は少ないほど価値が高いですか?
A.必ずしもそうではありません。
透明度や輝きを大きく損なう内包物は買取り価値を下げることがありますが、内包物の「数」だけで宝石の価値は決まりません。
 
大きさ、位置、目立ち方、透明度への影響、耐久性への影響などを総合的に見て判断します。
 
Q2.内包物があっても高く評価される宝石はありますか?
A.あります。内包物が価値を生み出す宝石も存在します。
代表的なのがスタールビーやスターサファイア、クリソベリルキャッツアイです。
 
針状内包物などが一定方向に並ぶことでスター効果やキャッツアイ効果が生まれ、その光学効果自体が宝石の魅力や希少性につながることがあります。
 
Q3.エメラルドは内包物が多いと価値が低いですか?
A.内包物があるだけで価値が低いとは判断できません。
天然エメラルドは内包物が比較的多く見られる宝石です。
重要なのは、内包物や亀裂によって透明度や美しさがどの程度損なわれているかです。
 
色が美しく透明感があり、内包物が見た目を大きく邪魔していないエメラルドは高く評価されることがあります。
 
Q4.内包物を見るだけで天然石か合成石か分かりますか?
A.内包物だけで100%判断できるとは限りません。
内包物や成長構造は天然・合成を見分ける重要な手掛かりになりますが、専門的な鑑別では分光特性や微量元素など複数の検査結果を組み合わせます。
 
高品質な宝石ほど、鑑別書や専門機関による分析が重要になる場合があります。
 
Q5.宝石の買取り査定では内包物の何を見ていますか?
A.内包物の量よりも、宝石全体への影響を見ています。
査定では、内包物の種類、大きさ、位置、色、目立ち方、透明度への影響、亀裂による耐久性への影響などを確認します。
 
まず肉眼で色や透明感、輝き、カットなど石全体を見たうえで、ルーペなどを使って内部を確認するのが基本です。

この記事の監修者

鑑定士歴20年 中村 達也
ゴールドウィン 梅田店・難波店

古物営業法許可番号大阪府公安委員会許可証 第621010160159号

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