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2018年12月10日

希少価値の高い「金」は、今も昔も世界の人を魅了しています。
今回は、そんな高い人気を保って来た金の歴史・金鉱脈の見つけ方や採掘方法から、実際に貴金属としての「金」が生まれる精錬方法までご紹介していきます。
1299年に完成されたマルコポーロの旅行記「東方見聞録」の中で、日本は膨大な金が産出され、民家や宮殿まで黄金でできている「黄金の国ジパング」として紹介されました。
黄金でできている宮殿は、岩手県平泉に平安時代1124年に奥州藤原氏によって上棟された「中尊寺金色堂」だと言われています。日本の大金山として知られる「佐渡金山」が1601年に開坑されるよりも、470年以上前のことです。中尊寺金色堂の金の出所に関しては諸説ありますが、気仙沼に合った玉山金山や茂倉金山から産出されたという説が有力なようです。
このように、日本では古くから金の採掘・精製が活発だったことがわかります。
日本で最初に金が産出されたのは、宮城県の黄金神社が鎮座している場所だと言われています。日本では金が採れないと言われていた奈良時代・749年に、大量の砂金が収集されました。
そして、現在まで続く日本の金採掘において、最大の採掘量を誇る金山が、鹿児島県の「菱刈鉱山」です。現在でも年間約7トンの金が産出され、1985年に採掘が開始されてから2018年3月までの総産出量は236.2トンとなりました。
それでは、そもそも金製品を生み出すために金脈・金鉱石はどのような場所にあるのでしょうか。金が在る鉱脈を見つける際に手掛かりになる「温泉」「河川」について見ていきましょう。
日本で産出される金や銀は、そのほとんどが「浅熱水性金銀鉱床」と呼ばれる鉱脈内に存在します。地下の1000mより浅いところで、マグマに熱せられた水の活動に伴って金や銀が沈殿したものが「浅熱水性金銀鉱床」です。
火山活動が活発な日本には、温泉が地表に吹き出す際に金や銀の鉱化が起こる「温泉型金鉱床」と呼ばれる鉱床も存在します。そのため、金を含む鉱脈は、温泉地に在る可能性が高くなるのです。
雨や水の流れが金の鉱脈を削り取ることで、金の粒=砂金が川に沈殿します。そのため、砂金が存在する河川の周辺には、金鉱脈が在る可能性があるのです。
日本最大の採掘現場である菱刈鉱山では、含水爆薬によって鉱床を発破して、鉱石を取り出しています。
鉱脈に向かって水平方向に坑道を通し、ドリルで1.8~3.5mの穴を40~50個開けていきます。その穴の中に含水爆薬を装填します。
発破後の鉱石は回収され、地上の鉱石処理施設に運ばれていきます。鉱石の処理施設で、手作業で金が含まれる鉱石とそれ以外に選別され、金鋳造施設に移された金鉱石から金を取り出していくことになるのです。
最後に、金製品となる前の金、金地金の精錬方法と金の製造について見ていきましょう。 精錬とは構成期から金属を取り出す過程を指します。
金は、多くが石英や炭酸塩などの中に他の鉱石と共に、少量含まれているため、他の鉱石と金を分ける必要があります。
一部地域では、金が反応する水銀を使用して、金だけを取り出していますが、水銀の毒性に関するリスクがあります。そのため、現在、世界の鋳造施設の多くが、最初に純銅を取り出し、その後銀・金の順番で精製する方法を採用しています。
そして、出来上がった貴金属の地金の不純物を分離・取り出す工程を「精製」と呼び、これを繰り返すことで、金であれば10K・18k・24Kと言った純度を上げていくことができるのです。
金はその希少価値から、製造に関する「信用」が欠かせません。そのため、金製品の製造する企業のブランド化が進んでいます。
例えば、ロンドン地金市場協会は世界中にある金地金取引市場の中でも最も歴史が長く、大きな権威があります。ロンドン地金市場が定めた規格をクリアし、公認マークが刻印された製品は、換金基準として最高の「信頼の証」としてブランド化されています。この厳しく定められた規格を通過した造幣局や企業が、世界の金生産量の90%ということからも、その権威と信用度が伺えます。
今回は、金の歴史や金鉱脈の見つけ方、精錬方法まで、まとめて解説してきました。
昔から日本では、金は欠かせない存在であり、その歴史は1200年を超えています。日本にあった多くの金脈はすでに金が枯渇してしまいましたが、鹿児島県の「菱刈鉱山」では未だに金が採掘されており、その歴史は続いています。また、金製品の製造には、信用のおける金地金が必要です。世界中の取引市場の中で最も権威がある「ロンドン地金市場協会」の規格は、特に信用度が高くなっており、日本の企業も会員です。
世界中の人が憧れる「金」について、その希少性・魅力をさらに知っていきたいですね。

この記事の監修者
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